「(…あ!)」

ほんの一瞬だけだったが、祐巳は確かに見た。

デートの途中、祐巳にアイスを買ってあげるために聖が取り出した財布には、
中にコンドームが一つ入れてあった。

「(やっぱり、聖さまもそういうつもりなんだ…)」

最初のデートで手を繋いで、二回目でキスをして、そして今日は、四回目のデート。
そろそろ、そういうことがあってもおかしくない。

いつ言い出そうか迷っていた祐巳は、確信を得て気持ちを決めた。

「あ、あの、聖さま…!」
「ん?なーに?」
「…今、家に誰もいないんです。だから、これから私の部屋に、来ませんか…?」
「え、いいの?わぁい、行く行く〜」

聖の乗りはとても軽かった。
まるで、小学生が友達の家に遊びに行くみたい。
でもまさか、分かっていないという訳ではあるまい。

「(だ、大丈夫よね、初エッチまでの流れって、こんなものよね?)」

祐巳の心の中での問いに答えてくれる者はいない。
ただ、祐巳なりに一生懸命妄想して、今のところ順調に進んでいる。

いよいよ、処女でなくなる時が来た。

祐巳の部屋に来ると、聖は「アルバムが見たい」と言う。

一体どんな会話をすればよいのか困っていた祐巳にとってその申し出は有難いものだった。

だが、祐巳の小さい頃の写真を見て「可愛い」を連発する聖に適当に言葉を返しながら、
祐巳は頭の中で新たな問題に悩んでいた。

「(どうしよう、エッチの前のシャワーって、いつ浴びればいいんだろう…)」

どちらが先に浴びるべきなのか、ということすらよく分からない。

「(先に聖さまに入ってもらうっていうのも変よね…だけど、私が先っていうのも…)」

もう面倒だから、いっそ浴びずに済ませてしまいたいけれど。

「(そんな訳にもいかないわよね…ああもう、私、臭ってるかなぁ…)」

こっそり腕を鼻に近づけてクンクンとやっているところで、
あろうことかこちらを向いた聖と目が合ってしまう。

「!!」

恥ずかしい仕草を見られてしまった祐巳は、真っ赤になった。

すると聖はアルバムを閉じて、優しい声で言った。

「祐巳ちゃん、何を考えていたの?」
「い、いえ、特になんでもありません…」
「そっか」

聖は祐巳のそばに寄る。

「キスしてもいい?」
「…えっと…はい…」

祐巳は肯いて目を閉じた。

チュッ、チュゥッ、チュパッ…

聖の唇が、祐巳の小ぶりな唇を数回吸う。

「あ、あの、待ってください、このまましちゃうんですか…?」
「祐巳ちゃんもそのつもりで、私を誘ったんでしょう?」
「そうですけれど…」
「どうしたの?」
「…なら、ここじゃなくて、あそこでして欲しいです」

そう言って祐巳はベッドのほうを見た。

「いいよ、分かった」

聖は祐巳の手を引き、ベッドの上に座った。
そして数分間、キスの続きをした。

それから祐巳を寝かせ、眠っているお姫様に対してするような手付きで服と下着を脱がせて裸にした。
聖は慈しむようにゆっくりと祐巳の体に指をすべらせ、所々に吸い付いて赤い痕跡を残した。

「んっ…あっ…」

祐巳が声を出してしまい、恥ずかしそうに口を手で押さえると、聖は微笑した。

「かわいい」

そう呟いて、聖も裸になろうとした。

上半身を脱ぐときは、スルスルという静かな音。
下半身を脱ぐときは、バチンという大きな音。

硬く勃起したペニスが勢い良く飛び出して、おなかにぶつかった後、左右に揺れた。

「(わ、すごい…)」

初めて見る聖の裸と生殖器に、祐巳は思わず目を見開いた。

「(平均って、確か15cmくらいなんだっけ…?
うわぁ、聖さまの、それよりずっと大きいよぉ…)」

しかも角度がすごくて、真上を向いている。
こんなのをアソコに入れたら、めちゃくちゃ痛いに決まっている。

「祐巳ちゃん、怖い?」
「…ほ、ほんの少し…」
「ごめんね、祐巳ちゃん。私、あんまり優しくできないかも。今、必死に理性で押さえてるんだけど」
「いいんです、多分、どうやっても痛いと思いますから…」

愛は理性的じゃないから我慢する必要は無いです、と付け加えると、
聖は興奮して祐巳に覆い被さり、前戯をした。
胸を揉んで、チクビを舐め、性器に口付けた。

「祐巳ちゃんが欲しい、祐巳ちゃんが欲しいよ」

切なそうな声で、聖が祐巳を求める。
祐巳の太ももの間に体を割り込ませ、ベッドに手を付き、背中を反らせて、祐巳を見つめる。
張りつめて全体が真っ赤になったペニスが、祐巳の入り口のところに押し当てられる。

「私も、聖さまが欲しい…」

祐巳は聖の首に腕をまわし、自分のほうからキスをねだった。
聖はそれに応え唇を吸い、祐巳をきつく抱きしめて、ゆっくりと性器を挿入した。

「(い、痛っ…)」

祐巳の言葉が声として発せられることはなかった。

意外に重たい聖の体と、温もりと、少しだけする汗の匂い、そして破瓜の痛み。
とても現実的な感覚に、何の不満もなかった。

「入ったよ、祐巳ちゃん」

聖が体を少し起こして、密着していたお腹を離すと、その間から結合部分が見えた。
ペニスが三分の一ほど、祐巳の中に入っている。

深くはないものの、先端部分は完全に挿し込まれ、しっかりと結合していた。

「(私と聖さま、ホントに繋がってる…)」

体の中で、聖を感じる。
熱くて硬い棒が、震えている。

「(きっと聖さま、気持ちいいんだ…)」

ただ受け入れているだけの自分が、既に快感を聖に与えられていることを、祐巳は嬉しいと思った。

「はぁ、はぁ…」

息を荒くした聖が、動きはじめた。
ジュルッ、ジュルッ、と音を立てながら、狭くて短い祐巳の内部を、聖が摩擦する。

「聖さまっ…あ、あ、あっ…」

祐巳が発した声は痛みから出たものだったが、
まるで快楽にあえいでいるのかと錯覚してしまうほど、甘ったるい声だった。

「祐巳ちゃん、かわいいよっ…大好き、愛してるっ…」

聖は興奮して、徐々に早くなる。

腰を振って、ペニスを動かす。
ごく単純な動きの繰り返し。
動物的な体の動き。

ベッドの上で祐巳の体が揺れる。

「(これじゃあセックスというより、交尾みたい…)」

いや、呼び方で区別をしているだけで、結局どちらも同じことなのだろうか。
ならば祐巳は何を期待していたのかと問われても、答えることが出来ない。
実際、挿入したら、あとは腰を振って動くだけで、他にやることなど無いのだ。

「(でも、この何も考えない感じ…イヤじゃないかも…)」

祐巳は痛みに耐えながら、聖のされるがままでいた。
そして数分後、聖が終わりを迎えた。

「祐巳ちゃん、私、イキそうっ」
「は、はい…!」

祐巳は返事をして身構えた。

「うぅっ…イクッ…!」

聖は短く声を上げ、膣からペニスを抜き取ると、右手で根元を握った。
途端に精液が溢れ出し、飛び散った。

最初の数発は勢いが強すぎて、祐巳の頭を飛び越えていった。
その後も、首、胸、お腹の上と、祐巳の体には太くて長い精液の糸が何本も打ち付けられた。

「(す、すごい量…)」

祐巳はびっくりだった。
まさか、こんなにたくさん出るものだなんて。
もっと、ピュッ、と少し出る感じを想像していたのに。

「ごめん、祐巳ちゃんの体、汚しちゃった」

出し終わると、聖はペニスを垂れ下がらせたまま、すぐにティッシュで祐巳の体を拭いた。

「…避妊するの、忘れちゃいましたね…」

祐巳がポツリと言うと、聖は思い出したように「あ!」と言った。

「祐巳ちゃん、私がコンドーム持ってること、知ってたの?」
「はい。財布の中に入れてありましたよね?チラッと、見えたんです」
「財布?違うよ、バッグの中だよ」
「え、じゃあ、あれは私の見間違え…」

聖はベッドを下りてティッシュを捨て、それからバッグの中をゴソゴソ探した。

「ほらこれ」

聖が取り出したのは、箱から出しただけという状態でビローンと六個一続きになったコンドーム。

「そ、そんなにですか…」

赤くなる祐巳。

直後、聖のバッグから何かが落ちた。

ボトリ、と床に落ちたのは、どこからどう見ても動物用の首輪と鎖。

「…え」
「おっと、いけない」

聖は慌てることも無く、その怪しげな物体を拾い上げると、
コンドームと一緒にバッグの中に戻し、何事も無かったかのようにニコッと笑った。

「(今のは一体なに?!今のは一体なに?!)」

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