便所の名で呼ぶ条件が『汚い』『臭い』の二点であるなら
あの女――ヴィクトーリヤ――に資格は十分ある。

太く縮れた長毛が絡み合いながらびっしりと密生する
完全未処理のワキ毛とマン毛とケツ毛は
率直に『汚い』以外に評価のしようがなく
まともに洗っていないそれらのうち殊に性器に関しては
『シュールストレミングよりマシ』という程度である。

そのくせ顔と声の可愛さは超級アイドル並で
乳と尻のエロさも申し分ないときたら
心置きなく精液便所として戦場で使い捨てにできる
――はずであったのだが。

かつてライン戦線で「アップルパイが食べたい…」と
虚ろな目をして呟いていた伍長の頃の彼女には
肉便器の呼称がよく当てはまったが
果たして現在でも適当かどうか。

今や将校となりターニャの副官を務める彼女は
はたから見れば『股肱』で
内実ほとんど『糟糠の嫁』ではないか。

(どうしてこうなった!)

さりとて一度火をつけた性欲は勢いが衰えるどころか
予想以上の延焼中で鎮火のめどが立たない。

(全てあの女のせいではないか!)

我慢して情火が収まるならともかく
余計なストレスで懊悩するのは目に見えている。
ならば彼女を当座の『用便』のため使用して何の問題があろう。

(私は悪くないぞ!全部あの女が悪いのだ!)

斯くてターニャは毎日のように
ヴィクトーリヤと『セックス』をしていた。

彼女は適当な物陰に連れ込み抱きしめてやるだけで
顔を真っ赤にして目はとろんとして腰が砕けそうになり
優しくキスをするだけで簡単にヤラせてくれた。

(うぉぉ…今日も臭せぇぇ…)

うっとり目を閉じて口を吸われるヴィクトーリヤは
ターニャが毎回笑いそうになっているのも
実はこの頃ターニャのほうが気を使って
キスの前に砂糖を舐めたりしていることも
一向に察する気配すらない。

(まったくこの女はどうしてこうも?!)

生まれる世界が違いさえすれば
オーガニックだのボタニカルな化粧品こだわってみたり
年中職場に白湯を持ってきたりするような
自意識たっぷりの女に仕上がっていたであろうに。

いくらその手の情報が限られたこの世界で
激戦下の最前線に身を置く彼女といえ
毎日のように膣にペニスを突っ込まれ
ヌコヌコ出し入れされた挙句に中出しまでされているのに
こうも悪気なく無自覚でいられる純真さを保持しているとは。

(クソぅ…!だから私はこれほどまでにも…!)

吹き出しかけるのも最初だけで
やがて猛烈な興奮が湧き上がり
気付けばいつも本気で彼女にキスしている。

それから先は規定演技のように
毎回やる内容が決まっていた。

腰の立たなくなる彼女を寝かせて軍服を脱がせ
マンカスまみれの性器を指でほじり
おもむろにかぼちゃパンツの中からペニスを取り出し
正常位で挿入してひたすら出し入れさせるのだ。

彼女はかつてのように痛がらず
むしろ皮を剥いていない極太包茎ペニスで突かれると
歔欷するような美しい声を途切れることなく発し
最後にターニャの甘い「ヴィーシャ…」という囁きと共に
ぎゅうっと抱きしめられながら大量に膣内射精されると
感極まって涙をポロポロこぼした。

(か、可愛いよ…!可愛いよヴィーシャ…!)

嬉し泣きは毎度のことといえ
さすがのターニャでも感動を禁じ得ぬ畢竟的萌えに
思わず鼻の穴を膨らませ改めて彼女の口に吸い付き――

(うぉぉぉ…なんかさっきより臭ぇぇぇ…)

などと後悔して我に返るのが毎回のオチであった。

その後は少し飽きてくるのを我慢し
鼻をすする彼女が泣き終わるまで
頭を撫でたり頬にキスしながら寄り添い
ようやく落ち着いて気が済んでから事後処理を手早く行い
彼女に軍服を着させ先に一人で行かせ
ターニャは時間差で遅れて出てゆくのだが
結局これで小一時間は要する。

(一回のトイレに一時間もかける奴がどこにいる?!)

けれども翌日の任務を終えた帰投後
ヴィクトーリヤが小銃を肩に担いだまま
やおら基地の片隅でしゃがみ込み
虫の餌にもならぬような小さな雑草群を前にして
「キレイなお花が咲いていますね」
と心底無邪気な笑顔でこちらを見上げてくるものだから――

(こ、この女は〜…?!)

ターニャの性欲はたちまち沸騰状態となり
ただちに最寄りの物陰に彼女を連れ込み
再び小一時間かけてセックスをする羽目になるのだった。

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