お姉ちゃんに会える週末は、目覚ましが無くても早起きしてしまう。

午前中は部屋の掃除をし、お昼ごはんを食べて一休みしたら、さっそく夕ごはんの支度に取り掛かる。
沙織さんに教えてもらった肉じゃがを手間取りながら作ると、完成する頃にはそろそろ約束の時間。
私は鍋の火を止め、炊飯器をセットして部屋を出る。

変な人みたいだけど、思わずスキップしてしまう。
今日の朝起きてから、ずっとお姉ちゃんの事を考えていたのだもの。

私は待ち合わせ場所で、お姉ちゃんが来る方角の空を見上げた。
お姉ちゃんは白馬よりもっと素敵な乗り物、竜を使って大洗に飛んでくるのだ。

待っていると徐々に日が傾きはじめる。
お姉ちゃんが遅いのは、きっと向かい風のせい。
でも私は慌てない。
夕焼け色に染まる空を見つめて大好きな人を待つのも素敵な気分。

しばらくして星のように美しく輝く一点が向こうの空に現れた。
お姉ちゃんが乗るFa223。
夕日を反射した機体は、まるで全身の鱗が光っているみたい。
バタバタと羽根の音をさせながらゆっくりこちらへ近づいてきた。

私は大きく手を振った。
竜は私を見つけて空中で静止し、尻尾を横向きに少し離れた場所に着地した。

「お姉ちゃん!」

ドアが開いた途端に私は駆け出した。
お姉ちゃんは軽く微笑み手を上げた。
私はそのままお姉ちゃんに飛びつきたかったけれど、人目があるので我慢した。
だってみんなは、私がお姉ちゃんのお嫁さんになったことを知らないのだから。

「すまない、みほ。遅れてしまった」
「ううん、いいの」

嘘じゃない。待つのはぜんぜん辛くなかった。

お姉ちゃんに手を引かれ機体から離れる。
たちまちFa223は強い風と共に飛び上がり、くるりと回って帰っていった。
その機影が見えなくなるまで見送り、私とお姉ちゃんは手を繋いで歩き出す。

部屋に着いて鍵を開けたら、お姉ちゃんはすぐ料理の香りに気づいた。
我ながらなかなか良い感じ。
ごはんも炊けている。

「ごちそうを用意してくれたのかな」

珍しく冗談を言うお姉ちゃん。
いや、冗談ではなく真面目に言ったらしい。

「そ、そんなんじゃないよ、肉じゃがだよ……」

私は嬉しいやら恥ずかしいやら。

さっそくテーブルに食器を並べ、夕ごはんにした。
頑張って作った料理を食べてもらうのって、すごくお嫁さんぽいことをしている実感があって幸せ。
お姉ちゃんはほっぺにごはん粒を付けてモグモグしている。
それを大喜びで取ってあげたら、お姉ちゃんもこちらへ身を乗り出し、

「みほも付いてるよ」

と、私のほっぺに付いたごはん粒を取ってくれた。

「あ、あれ、もしかして私、普段から食事のときこうなのかな……」

不安になる私をよそに、お姉ちゃんはもうさっそく新しいごはん粒を付けてるし。
幸せすぎて溶けてしまいそう。

ごはんを食べたらお風呂に入った。
順番は私が先でお姉ちゃんが後。
つい泡だらけになって念入りに体を洗ってしまう。

上がったらパジャマに着替えて、次はお姉ちゃんの番。
私は部屋を暗くしてベッドに座る。
温まった体がますます火照ってゆく感じがした。

私がかかった時間の半分くらいでお姉ちゃんはお風呂から出てきた。
裸にバスタオルを巻いただけの姿に、胸の鼓動が一気に高まる。

お姉ちゃんは私の隣に来て、キスをしてくれた。
私も自分から求めた。
舌と唇を絡ませながら吸い、クチャクチャと音を立ててツバを飲み合った。

苦しくなるほど長いキスの後、パジャマを脱がされた。
お姉ちゃんは自分でバスタオルを解いた。
アソコがすごく硬く、大きくなっていた。

私は体の隅々までお姉ちゃんの舌と唇で愛撫された。
そして抱き合い、またキスをした。

お姉ちゃんのアソコが当たる。
私に覆い被さる格好で、そのまま中へ入ってきた。
たまらず声が出てしまう。
お姉ちゃんが動くと、もっと声が出てしまう。

普段はクールなお姉ちゃんが息を荒くして腰を振った。
ベッドがギシギシと音を立てて揺れる。
私の声もどんどん大きくなる。
気持ちよくてたまらなかった。

何百回も動いてから、お姉ちゃんは私の中で果てた。
赤ちゃんを作るための体液がいっぱい出たのが分かった。
その作業が終わると、お姉ちゃんのアソコは自然に小さく収まった。

足元の毛布を引っ張り、裸のまま二人一緒にくるまった。
たくさん気持ち良くなって、満足して、そうしたら眠くなった。
私はおでこをお姉ちゃんの胸元に擦り付けた。
お姉ちゃんの心臓の音が聞こえる。
それがなんだか安心して、知らぬ間に私は眠りに落ちていた。

次の日の朝目覚めると、お姉ちゃんは先に起きて私を見つめていた。
まぶたを開けたら大好きな人の顔が目の前にあるなんて。
でも意識がはっきりすると、お姉ちゃんが帰ってしまう現実を思い出す。
こんなに素敵な朝なのに、ベッドから出たくなくなる。

「……なぜそんな顔をする?」

お姉ちゃんは私の前髪を左右に分け、おでこにおはようのキスをしてから言った。

「だって……」

私はベッドの下からぬいぐるみを抱き上げ、それをギューッとした。

「帰らないで欲しいの……」

聞こえないくらい小さな声で呟く。

無理なお願いだと分かっている。

猪突猛進、見敵必殺、強くて勇ましい西住流を継承したお姉ちゃんは黒森峰戦車隊の隊長。
一方私は大洗の戦車隊を率いている。
今はそれぞれの仲間と精一杯やらなければいけない事があるのだ。
それが終わるまでは離れて暮らす。
そう決めたのだから。

お姉ちゃんは優しく微笑み、私に約束してくれた。

「いずれみほと一緒に暮らす。だから少しだけ我慢してくれ」
「……本当に少しだけ、だよ……?」
「ああ、必ずだ」

私の腕からそっとぬいぐるみを取り上げ、代わりにお姉ちゃんが私をギューッとしてくれた。

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