それを『日課』と称するか、
あるいは身も蓋もなく『排泄の一種』と表現するか、
もしくは『趣味』と言って開き直るか。

とらえ方はそれぞれだが確かに変わらず共通しているのは、
片想い中のふたなり娘は皆、
好きな人のことを考えて夜な夜なオナニーに耽るということ。

それは生徒会広報として日々威厳のある振る舞いをしている河嶋桃とて、例外ではない。

彼女のペニスは、平常時は包皮で隠されパンツで難なく押しつぶせる程度の大きさであるが、
夜になり好きな人のことで頭がいっぱいになりだすと、途端に勃起して、硬く太く長くなってしまうのである。

そうなればもはや、精液を出すまで絶対に元の大きさには戻らない。
だがそれは桃にとって、決して困った現象ではなかった。
本当のところ、彼女は意外に好きなのだ。
もちろん、『毎晩射精している』などとまわりのみんなに言えるはずもなく、これは桃だけの秘密であるのだが。

また今晩も、桃はオナニーをする。
射精する手順はいつもと同じ繰り返し。
けれども、少しもつまらなくは無い。
なぜなら、毎晩とても気持ちいいのだ。

興奮した桃は眼鏡の他は一切脱ぎ捨て、ベッドに仰向けで寝る。
興奮の度合いを表すように、ペニスは鉄のような硬さで、天井を向いて垂直で立っていた。
葉脈のように浮き上がった無数の血管が根元のほうから上までずっと続いてゆき、
真っ赤な亀頭のフチは大きく張り出して鋭くなっていて、そこだけまるで別のパーツのようになっていた。
なまじ美少女の下半身に付いているものだから、余計にグロテスクに見えてしまう。
が、桃はそんな自分のペニスを愛しそうに右手で握り、
捲れた包皮をシコシコと上下に動かしてオナニーをはじめた。

「はぁぁぁ…」

すぐに彼女の口から嬉しそうなため息が漏れ、続いて大好きな人を自然と呼んでしまう。

「か、会長ぉ…」

桃の片想いの相手は、杏だった。
いつもお菓子を持ち歩いて食べている、高校三年生とは思えない幼くて愛くるしい生徒会長。
自らが忠誠を誓うその角谷杏に、桃は恋をしていた。

だから毎晩、桃は杏をオカズにオナニーする。
副会長の柚子と一緒にいつも杏のそばにいる桃には、彼女という存在がほぼ完全な情報として記憶されている。
頭の中でその杏を、あたかも3Dキャラのように自在にモーションや声を付けて楽しむのだ。

桃は脚を広げた。
妄想の中で、杏がフェラチオをしてくれるからだ。
まずはじめにいい匂いのするツインテールが桃の左右の太ももにそれぞれ垂らされ、
それから少し白く汚れた子供っぽい舌をペロリと出して、亀頭のフチをレルレルと舐めてくれるのだ。

「あぁ、気持ちいい…」

桃はうっとりしながらペニスをしごいた。

(河嶋ぁ。ちんこ舐められると気持ちいいんだー?)

頭の中で、杏の声が響く。
あんなに可愛い声で『ちんこ』とか言われたら、それだけでたまらない。

「か、会長、エロ過ぎです…!」

桃は衝動に駆られ、汚いとは知りつつも、ペニスをしごく右手に自分を唾液を付けて濡らしてみた。

「あああ!」

濡れたペニスをグチュグチュしごくと、背中に電気が走るような快感だった。
案の定、変な匂いも漂ってきたが、
杏の唾液も結局は同じなのだと思うと、むしろ興奮が余計に増してしまった。

「はぁぁ、これ、たまんない…」

桃はペニスをしごき続けながら、左の手のひらにも唾液をたっぷり垂らし、
それを亀頭に被せて覆うようにし、手首をひねってグチャグチャ回転させた。
杏がカプッと亀頭を咥え、口の中で舌を高速で動かしつつ思いっきりバキュームしてくれている気分だった。

「あ゛あああ!す、すごいっ…!!」

この方法はあまりに気持ちが良くて、急速に絶頂感がこみ上げ、そのまま一気に射精まで達しそうになった。

「はうぅぅぅ…!!」

桃はベッドから足を浮かせながら慌ててしごくのを止め、両手でペニスの根元をぎゅうっと握った。
いくら妄想の中とはいえ、フェラチオだけで出したら早漏だ。

「ダ、ダメ、まだ出しちゃ…!」

桃は体を横向きにして体勢を変え、必死に我慢した。
するとペニスからは、精液の代わりによだれのようにネットリとした透明な汁が溢れ出し、
シーツの上にダラリと垂れた。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

口で息をして数分も我慢し、何とか絶頂感をやり過ごすと、桃はまた体勢を変え今度はうつ伏せになった。
枕に顔を押し付け、探るような慎重な動きで、
敏感になり過ぎているペニスをシーツと摩擦させ、オナニーを再開した。
言うまでも無く頭の中では、杏に挿入している場面を思い描く。

「会長のおまんこ、気持ちいいよぅ…」

枕に腕をまわしギューッと抱きしめながら、腰をカクカク振って、杏と正常位で繋がる気分に浸る。
杏の小さな膣穴はとても温かく、
限界まで広げられてもなお柔らかい感触を失わないトロトロの肉が亀頭にみっちりと吸い付いてきて、
入れているだけでとろけてしまいそうな快感に違いない。
ぺったんこでほとんどあばらの感触しかない彼女の乳房に頬擦りし、
つまめないほど小ぶりなピンクの乳首をジュパジュパしゃぶりながら、
腰を卑猥にピストンさせてしつこくペニスを出し入れさせたら、どんな声であえいでくれるのだろう。
意外に大人っぽい声を出すのだろうか。
それともやはり見た目の通り、泣いているような悲鳴を発するのだろうか。

「あ、ダメ、出ちゃいそう…!」

そんな想像を膨らませていると、再び絶頂感がこみ上げてきた。

「も、もうダメ、出る出る、イキそう…!」

二度目の我慢は無理だった。
桃は体を起こし急いでティッシュをシーツの上に置いてから、四つんばいの格好をした。
そして右手でペニスを強く握り、小さな四角い的を外さないよう狙いを定めた。

「イクぅぅぅぅぅ!!!」

声と一緒に白く濁った熱い精液がビチャビチャとティッシュにぶちまけられた。
昨日の夜もオナニーをしているので、たった一日の間に新しく作られた新鮮な精子が、
ドロリとしたゼリー状になって大量に発射された。

「あぁぁぁ、気持ちいいぃぃぃ〜…」

桃は高く上げたお尻を幸せそうにプルプル震わせながら、
精液を同じ分量ずつ、何十回にも分けて発射した。

全てを出し尽くすとペニスの脈動が終わり、
薄く開いたままの鈴口から、尿道に残った薄い精液がトローンと糸を引いて垂れた。

「はぁぁぁ〜…」

満足した桃は首を反らし、深くため息を吐いた。
緊張が解けるようにペニスが硬さを失うと、浮かんでいた血管も全て消えて、
包皮に巻き込まれるようにして元の小さなペニスに戻っていった。

「いけない、もうこんな時間…」

桃は正気を取り戻し、ティッシュを捨ててから手早くパンツとパジャマを着て、
落ちていた毛布を拾いベッドを綺麗に整え、眼鏡を外した。

明日も戦車道の練習がある。
毎晩オナニーに時間を食われて寝不足の結果、自分がミスを犯しでもすれば、
西住みほに無理やり戦車道をやらせている生徒会チームとして示しがつかなくなってしまう。
オナニーを済ませたら、あとはさっさと寝なければいけない。

毛布を顔まで引き上げて、桃は目を閉じた。

ふたなりに生まれなければ、杏を好きになることもなかったのだろうと思う。
その自覚があるからこそ、桃は現状に特に不満は無かった。

あまり高望みしてはいけない。

明日もまた戦車に乗り込むとき、
「河嶋ぁ」という気の抜けた声で呼ばれて、
踏み台代わりに使ってもらえれば、桃はそれで満足なのだ。

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