「ああ、これが…これが、姉さまの…」

椅子に深く座り、机の上に両足を投げ出したリャン・チーが、
手のひらに収めた小さな布を見つめ、呟いた。

まるで、数十年に一度しか開帳されない至宝を鑑賞するかのような畏敬に満ちた眼差しで、
彼女はこっそりくすねたアルファルドの下着を広げた。

「姉さまが、一日履いていたパンツ…」

白い布地にはアルファルドの肌の香り、
そして、生殖器が直に触れていた痕跡までもがはっきりと残っていた。

「分かるわ、ここよ…ここに、姉さまのアソコが当たっていたの…」

彼女は下着の中に手を入れ、両手の人差し指と親指を使い、
内側からクロッチの部分を伸ばしながら嬉しそうに言った。

そこに付着した色として識別できるかすかな汚れ。
アルファルドが何度か排泄をした痕跡。

クロッチの「どの部分に」「何が」触れていたのかを限定して指し示すような、局所的な汚れ。

「うふふ…ここが姉さまのおマンコ…こっちは、アナル…」

頭の中でアルファルドの局部を想像しながら、
リャン・チーはその部分に鼻に近づけ、スンスンと音を立てながら匂いを嗅いだ。

「はぁぁ…これが姉さまの匂い…すごく、良い匂いだわ…」

異常なまでの好意、偶像化するほどの愛情は、彼女に変態的な欲望をも抱かせた。

アルファルドの美しさと、彼女が身に付けていた下着の状態には、何の関係も無い。
良い匂いなどするはずがないのに、いやむしろそうだからこそ、
彼女は恍惚となって鼻を鳴らしながら、舌まで出してそれを舐めた。

ペロン、ペロン…レルレル…

布地はすぐに唾液を吸い取り、汚れた部分を強調させる。

「姉さま、大好き…」

チュッ、チュッ、チュゥゥッ〜〜…

自らの唾液と混ざって染み出した汚れを味わいながら、
彼女は下半身をジトジトに湿らせて、最愛の人が身に付けていた下着にしゃぶり付く。

「姉さまぁ…姉さまぁ…!」

興奮が極まると、彼女は切なそうに声を上げながら、
左手で握りしめた下着を鼻に押し当てつつ、右手で自らを慰めはじめた。

びしょ濡れになったスリットに指を這わせ小さな突起を刺激すると、
本来得られる水準を遥かに上回る快感が走った。
指の腹で軽く押すようにしながら、彼女は小刻みに自分を摩擦した。

「アアッ…イイッ、姉さまっ…!!」

下着の匂いを嗅ぎながら夢中で手を動かすと、
その刺激がまるで他人から与えられているような錯覚がした。
彼女の頭の中でその他人というのは、もちろんアルファルド以外にはない。

大それたこととは百も承知で、それでも彼女は、アルファルドとの行為を、
もっとはっきりいえばセックスを想像しながら、
指や舌で愛撫してもらっている気分になって、自分を慰め続けた。

「アンッ、ンッ、ンッ!姉さま、イッちゃいます!イッちゃうぅっ…!!」

やがて絶頂を催した彼女は、その小柄な体を椅子の上でピクピク震わせながら、
机の上の足を爪の先までピーンと緊張させて、1人きりで果てた。

「ンッ…!ンンッ…!」

ビクン、ビクン、と背中が反り椅子から落ちそうになるのを、
唇を噛み、眉間にシワを寄せ耐える彼女。

「クッ…ハァッ、ハァッ、ハァッ…」

苦しいほどの絶頂点を超え、一番気持ちの良い時間が終わると、
彼女は肩を大きく上下させながら、机から足を下ろした。

「はぁ…はぁ…」

背中を丸くし、うつむきながら呼吸を整える。

熱が冷めてゆくように平静さを取り戻すにつれ、
あれほどに興奮したアルファルドの下着が、ただの白い下着として認識されてくる。
少し形の崩れてしまったそれを、彼女は大事そうに自分の胸の中にしまい込み、隠した。

「…はぁ」

完全に余韻が終わると、彼女は不満足そうにため息を一つ付いてから、顔を上げた。
そして、自らの痴態の一部始終を目撃させていた“傍観者”に視線を向けた。

「リャン・チー様…」

彼女が自慰に耽っていた机の目の前には、カミングズが直立不動で立たされていた。
彼は苦悶の表情を浮かべ、股間をパンパンに膨らませていた。

「あら、なぁに?」

リャン・チーは猫なで声で首をかしげてみせてから、
腰の後ろのホルスターから素早く黒い銃を引き抜いた。

「あぁぁぁ…リャン・チー様…」

おもちゃの銃口を向けられたカミングズは、慈悲を与えられたかのように、幸せそうな顔をする。

「ふんっ」

カション!

軽蔑したように鼻で笑いながら彼女が引き金を引くと、
乾いた軽い音と共に、プラスチックの弾丸がカミングズの股間にめりこんだ。

カション!カション!カション!カション!カション!カション!カション!

弾倉が空になるまで一気に撃ち尽くすと、カミングズは歓喜しながら床をのたうちまわった。

「ア゛ッ!ア゛ア゛ア゛ッ!ヒィィィッ!!ヒィアアアーーーッ!!」

発砲音が止むと、カミングズはオレンジ色の弾丸にまみれたまま、硬直して動かなくなった。

「…弾はきちんと詰めなおしておきなさい?」
「ア゛ヒィ゛ッ!!」

金属製の弾倉をカミングズの頭の上に落とすと、リャン・チーは不機嫌そうなまま部屋から出ていった。

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