神とは実におかしなもので、
手慰みにチリ細工の人間を作ってエデンの園に住まわせるのは良いとしても、
わざわざ園の中央に“善悪の知識の木”なるものを生えさせ、
おまけに「その実を食すな」という意味不明な制約を課し、
(食べさせたくないなら最初から生えさせなければ良いだけの話)
ほどなく蛇に誘惑された人間が知恵の実を口にしたために、
楽園から追放され、以降苦難の道を歩む結果となる訳であるが、
そもそも神には未来を完全に予見する能力があり、
(その全能さ故に神は神と定義されるのだから当たり前)
すなわち全ては神が当初から意図した通りの結果に他ならず、
もはや一体何がやりたいのやらと呆れざるを得ない。
そんなおかしな神なのだから、
ガヴリールがふたなりで、
股間から毛の生えたペニスがぶら下がっていたとしても驚くには値しない。
またガヴリールにとっても、
その器官は頭の光輪や背中の翼と同じ体の一部分でしかなく、
それ以上でもそれ以下でもなかった。
ただしそれは、ガヴリールが天界で優等生だった頃までの話であり、
欲望にまみれた人間界で堕落したガヴリールが、
性欲を知らずに済むはずがなかった。
―ペニスをゴシゴシしごいて精液をビュルビュル発射する―
性欲を満たすために行われる自慰という単純作業を覚えるのは、
ガヴリールがネトゲをするためPCとモデムを接続するのに使用しているLANケーブルに、
“ストレート”と“クロス”の2種類があることを学習するよりも遥かにたやすかった。
ネトゲはガヴリールの生きがいであり、
今ではオナニーも、同じくらい生きがいとなっていた。
ガヴリールはネトゲ三昧、
時々休憩代わりのオナニーを繰り返すという日々を送り、
他はほとんど食って寝るだけだった。
そんな怠惰な生活を送るうち必然に、
ガヴリールのゴミと油膜がたくさん浮いた汚い心の中で、
新たな欲求がブクブクと浮かび上がってきた。
―セックスをしてみたい―
自分のペニスを女の膣に突っ込んで射精したらどれくらい気持ちが良いのだろうか?
少なくとも、手でしごくより100倍は満足できるに違いない。
ガヴリールがそんな想像を膨らませたのは、
ティッシュを“的紙”代わりに毎日オナニーを繰り返すことに少々飽きたのもあるが、
ちょうど良さそうな女の見当が付いていたからでもあった。
―悪魔のヴィーネ―
頼みもしないのに合鍵まで作って部屋に押しかけ、
あれやこれやと世話を焼いてくれるヴィーネなら、
セックスだってやらせてくれるのではないか。
「あんな漫画にしか出てこないような古典的幼馴染キャラなんだもん…
常識的に考えて一発くらいやらせてくれるでしょ、多分…」
幼馴染といえば間違いなく、主人公に対し無条件で好意を抱いているものだ。
「あー、やっぱヴィーネは私のこと好きなんだわ、絶対…」
穢れた人間界の常識に毒されたガヴリールは簡単に結論付けた。
「てかむしろ、襲われ願望とかあるんじゃね?」
それではますます、ヴィーネを犯さねばなるまい。
「フフフ、私のちんぽをヴィーネのまんこに挿入して中出しピュッピュッ…」
想像しただけでペニスが硬くなりジャージの裾を持ち上げた。
「やばい、すっごく興奮してきた…」
しかしセックスをするのに、深夜こちらから出向く必要もない。
あと数時間待って朝になれば、自分を学校へ連れて行こうと、
制服姿のヴィーネが必ず部屋にやってくる。
そうしたらまるで「あと10分寝させてよ〜」とねだるような気楽な調子で、
「一発やらせてよ〜」とお願いするだけだ。
万一、抵抗された場合には、押し倒し体を拘束して襲ってしまえば良い。
「へー、結束バンドって手錠の代わりになるんだー」
ネットで少し調べると、有益な情報もすぐに得られた。
結束バンドは軍や警察などで実際に用いられているらしい。
「なんだ超簡単じゃーん」
準備は万端、勃起するペニスをパンツに押し込めつつ、
ガヴリールはネトゲで時間を潰し、朝が来るのを待った。
*
翌朝、部屋にやって来たヴィーネを、
下半身を露出させた変態な姿でガヴリールが出迎えると、
誠に意外にもヴィーネは必死の抵抗を見せた。
――が、そもそも心根が優しいヴィーネに、
本気で暴れてガヴリールに怪我をさせる勇気があるはずもなく、
半端な抵抗はかえって劣情を煽り立てる程度の逆効果しかあげずに、
ガヴリールは用意していた結束バンドでヴィーネを後ろ手に縛るだけだった。
縛ったヴィーネを床に四つんばいにさせ、
短いスカートをぺろんと捲り、白いパンツをするりと脱がせると――
ガヴリールの眼前に、甘い匂いを漂わせる
白くてうぶ毛の生えた大きな桃のようなお尻が突き出される格好となった。
「う、うおぉぉ…」
ガヴリールは思わず感嘆の声を漏らした。
初めて生で見るヴィーネのお尻は、
今までにネットで拾ったどの無修正画像よりもエロかった。
―この剥きたての極上エロ尻をこれから自分の好きにして良いのだ―
「はぁはぁ、ヴィーネのお尻いぃぃ!!」
ガヴリールは駄天使どころか人間ですらない、
まるで“数日ぶりにごちそうにあり付くカブトムシ”の如き有様で、
ヴィーネの桃のようなお尻を抱きかかえ、顔を埋めてしゃぶり付いた。
「ハフハフ、ジュパジュパ」と下品な音を立てながら、
舌と唇を使って性器と肛門を思う存分に舐めまわすと、
ヴィーネは泣いているような声を発した。
それはガヴリールが日頃ネットでせっせと収集しPCに保存しているエロ動画の中で、
“女が本気で感じている”際に発する喘ぎ声とはだいぶ異なって聞こえたが、
初めて耳にする弱々しいすすり泣きのほうが、むしろたまらない気持ちにさせられた。
「うふふ…ヴィーネったら泣いちゃうくらい感じてるんだ…
そんなにちんぽ欲しいなら、すぐに入れてあげるよ…」
ガヴリールは鼻息を荒くし、
昨夜から勃起しっぱなしのペニスを持って、
オナニーのやり過ぎで黒ずみかけている包皮を引っ張り、
ピンク色の亀頭をズルリと露出させ、
それを肉が盛り上がったぷにぷにの割れ目へと近づけた。
「お、おぉ…」
亀頭を擦り付け入り口を探すだけで、
童貞天使のガヴリールには十分過ぎるほどの刺激が得られものの、
もちろん、それで満足する気はなかった。
「ああ、やっぱりあった。ここ? これでしょ? ヴィーネのまんこ?」
やや手こずりながらも無事、膣口は見つけられた。
「へへへ…ヴィーネまんこにガヴたんインするお…」
ガヴリールは呪文のようなネットスラングを唱え、
さっそく小さな穴へ亀頭をねじ込もうと試みた。
「お、おうっ、すごっ、めっちゃキツい…?!」
場所は確かに合っているはずなのに、
大きな抵抗を感じ、なかなか入ってゆきそうな気配がない。
「は、入れ…、入れぇぇ…!」
それでもとにかくひるまずに、ペニスの根元を握り締め力を込めてゆくと――
「おおおう?!」
一転して今度は「ムリムリッ」とものすごい勢いで、
さながらホースで吸われるようにして、、
亀頭がいっぺんに膣の中に入ってしまった。
「ほ、ほぉぉぉぉ〜…」
ガヴリールは目を見開き、次に口から湯気と一緒の長いため息を吐き出した。
「あ、あはは…。な、なにこれ…。まんこの中、気持ち良すぎて笑っちゃうんだけど…」
想像を超えるというより、想像を膨らませたこと自体が馬鹿らしく思えるほど、
ネトネトして温かくてミッチリ締まった本物の穴の中の感触は素晴らしかった。
それに加えて、ムチムチプリプリで恐らく新品保障付きのヴィーネのエロ尻に、
自分の黒ずんだ新古品の童貞ペニスを突き刺しているという征服感がたまらなかった。
「こ、これマジですごいわあ…セックスって最高ぉ…」
もっと早くヴィーネを襲っておけば良かったと真剣に後悔した。
ガヴリールの腰は自然に動きはじめ、規則的なピストン運動が開始された。
ヴィーネのお尻を持ち上げるようにし、ガニ股になって腰をカクカクと前後に振った。
動くたびに性器の結合部から発生する「ニチッ、ニチッ」という粘ついた音は、
これまでに違法ダウンロードを試みたどんな同人オナニーボイスCDの音声よりも、
ガヴリールを激しく興奮させた。
「はっ、はっ、はっ…」
ガヴリールは発情した犬のように短く浅い呼吸を繰り返し、夢中で腰を振った。
それを休みなく続けると、射精に至るまであっという間だった。
「おっ! おおっ! すぐにイクッ! ヴィーネのまんこに中出しするっ!!」
3分も経たぬうちに、ガヴリールは宣言した。
ヴィーネは終始ずっと、「痛い」とか「やめて」などと悲鳴をあげていたが、
それはガヴリールの耳には、
外のベランダのほうから聞こえる小鳥のさえずりと同じほど、
遠くの小さな音にしか聞こえなかった。
「イクイク! 射精する!!」
最後の数秒間はラストスパートで、
ガヴリールは必死の形相になり腰を高速で動かした。
気分はさながら、“素人美人を鬼ピストンで突きまくるカリスマふたなりAV女優”だった。
それから数秒後に、雄叫びをあげて射精した。
「お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」
その鳴き声は獲物を仕留めた獣が発する歓喜の咆哮のようだった。
ペニスが激しく脈打ち、大量の精液が発射された。
昨夜オナニーを我慢した分、ドロドロに濃くなった精液を、
鈴口から搾り出すように「ビュルルルッ!」と打ち出すたび、
言葉で言い表せないほどの快感が得られた。
「おっ…おおぉぉ…気持ちいいぃぃ…」
ガヴリールは体を震わせた。
これでヴィーネを孕ませたかもしれないという手応えは、
達成感と呼んでも差し支えなかった。
それはオナニーでは決して味わえない満足感だった。
ともあれ、“メスに種付けする作業”そのものは、
30秒もかからずに終わってしまった。
結局、オナニーで出すにしろセックスで出すにしろ、
どちらも一回の射精であることに変わりはなく、
終わるとあっけなかった。
目的を遂げたペニスは膣の中で急速に萎えはじめ、
先ほどまであれほど気持ちが良かったはずが、もはや何も感じなかった。
「はぁ…。あ〜あ…」
すっきりしたガヴリールは長大息をついた。
ヴィーネのお尻への関心は、少なくともこの瞬間は、
完全と言って良いほどまでに消え去っていた。
オナニーの最中に「Ctrl+S」で保存しまくったエロ画像を、
オナニーの終了後にほとんど削除しているような普段と比較して、
正直なところ心境に特別な違いは生まれていなかった。
いずれにしてもガヴリールが“種付け”を行ったのは事実で、
だから一時的にしろ“用の済んだメス”に飽きるのは、ある意味当然だった。
「…やば、そろそろ学校行かないと」
ガヴリールは思い出したように時計を見て、
萎えたペニスをぞんざいに膣から抜き取った。
それをティッシュで掃除するのもそこそこに、
パンツを履いて制服に着替えた。
頭の中は早くも、“次に種付けするメス”のことでいっぱいになりはじめていた。
何しろ学校に行けば、
ヴィーネと同じくらい簡単にやらせてくれそうな悪魔―サターニャ―がいる。
「早くサターニャとセックスしなきゃ…!」
ガヴリールが急ぐのも無理なかった。
それはまるで、初めて万引きを成功させた中学生が、
興奮を抑えきれずその足ですぐさま系列別店舗に向かうようなものだった。
「ありがとヴィーネ、すっごく気持ち良かった。
じゃあ私、先に学校行ってるね!」
鞄に結束バンドを詰め込み、ガヴリールは部屋を飛び出した。
以前は歩くことさえ面倒くさかったはずなのに、
当たり前のように駆け出していた。
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